嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


「高木さんは午前中に仕上げないとダメなデータ入力が終わってないだろ。自分の仕事をキチンとしなさい」

珍しくキツめの口調で池上くんが言ったせいか清美ちゃんの顔色が変わった。

踵を返して資料室へ向かう池上くんの後を慌てて追いかける。

何の資料が必要なんだろう?
データなんかは殆どパソコンの共有ファイルに入れているはずなんだけど・・・・・。

資料室に入ると池上くんはどんどん奥へ進んで行く。

かなり古い資料が要るのかな・・・・・?

入口からだいぶ離れて、ちょうど入ってくる人からは死角になる棚の前で池上くんが立ち止まって振り向いた。

「あの・・・・・主任・・・・・?」

なんだか纏う空気が重い・・・・・と思っていたら池上くんに肩を壁に押し付けられた。

「オレの目の前で他の男と顔寄せ合って喋るとかなしだろ」

「え・・・・・あの・・・・・?」

顎を掴まれて上を向かされる。

「千雪」

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