嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


名前を呼ばれ、唇が触れる。

「ーーー!?」

ヌルりと舌が入ってきて、まるで貪るようにわたしの舌を探しあて絡めていく。

仕事中にするには濃厚で、情熱的過ぎだ。
いや、仕事中にキスはダメで。
考えることがおかしくなっている。

池上くんの肩を押し返そうとするけれど、わたしとは構造が違う逞しい身体はビクともしない。

池上くんが納得するまで弄ばれて、ようやく唇が離れた頃にはわたしの息はすっかり荒くなっていた。

「しゅに・・・・・」

「ウチの課の男どもは課長からしてお前に気軽過ぎるんだ」

苛立たしげに呟いてまた軽く口付けられる。


嫉妬・・・・・?


「・・・・・あんまり女性として意識されてない・・・・・からだと」

「自己評価低過ぎ」

池上くんの眉間に皺。

「正当評価です。会社でそんな恋愛事とはいちばん遠いところにいると思いますよ?だからあんまり心配しなくて大丈夫です」

顔を下から覗きこんでニッコリした。
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