嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「だ・・・・・大丈夫。もう何ともないですよ」
やっとの思いでそれだけを言う。
池上くんがはあーっと大きな息を吐いてわたしを抱き締めた。
「ーーーー電話も出ないし、てっきり家で倒れてるんだとばかり・・・・・良かった」
背中をさすられる。
「ご、ごめんなさい・・・・・主任疲れてるのに・・・・・」
「ダメ。お仕置き」
「え・・・・・あの?」
急に身体がふわりと浮き上がった。抱き上げられたことに気付いたときにはもうリビングまで運ばれていた。
「しゅっ、主任、下ろしてください」
「『修』」
「あ、や・・・・・」
「言って」
「しゅ、修ーーーくん」
至近距離にある池上くんの顔が綻んで、トンっと下ろされた。ほっとする間もなく唇が重ねられる。
顔色が悪かったって聞いて来てくれた。
心配してくれた。
部屋着にしているパーカーの裾から少し冷たい指が肌に沿うように胸の方に入ってくる。