嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
こんなに愛しい。


決して我侭も言わないし、聞き分けもいい。

それが少し物足りないと言ったら千雪は戸惑うだろうか。

クリスマスの3連休に以前から決まっていたこととはいえ会えないなんて、拗ねるだろうかなんて考えていた。

けれどそれを告げたときも「気を付けて行ってきてくださいね」とニッコリ笑う。せめてクリスマスだし何か欲しいものはないか聞くと小首を傾げてちょっとの間考えて定番東京土産のバナナのお菓子の名前をあげた。


いつもの千雪の家。

暖かい部屋で食後に2人並んでお茶を飲む。

「千雪、そうじゃなくて・・・・・クリスマスプレゼントは何が欲しいか聞いてるんだ」

細い肩を抱き寄せて耳元に息を吹きかけるように問い掛けた。

黒目がちの丸い瞳を一瞬見開いてオレの顔を見て、俯いて自分のスカートをつまんで弄んでいる。

「千雪?」

「ーーーーー欲しいものはないけど・・・・・」

「ん?」

「あの・・・・・ぎゅうってしていい?」
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