嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


仕事の段取りもあるし、欠勤することを課長に電話をする。

『健太郎から昨夜電話貰った。大丈夫か?』

「はい、ご迷惑をおかけします。急ぎの仕事は金曜日に終わらせてあるので、何かあれば原田さんにお願いしてください」

『仕事のことは気にせんでええ。ええ機会やし高木をちょっと鍛えよう』

「はい、お願いします」

『池上に代わるか?』

一瞬言葉に詰まる。

「いえ、朝の忙しいときに迷惑ですから・・・・・申し訳ありませんって伝えてください」

慌ててスマホの終話ボタンをタップした。今話すと色んな気持ちが漏れてしまいそうだから・・・・・。

週末、スマホの電源も入れず白い天井をずっと見上げて考えた。


流されたわたしが悪い。

10年も前のしまい込んだ恋心を引っ張り出してきて、縋ってしまったわたしが悪い。



終わりにしなければーーーーー。




朝の回診で許可を貰い、お昼過ぎに家に帰った。

窓を開けて家の空気を入れ換える。
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