嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「我侭言ったらあかんて・・・・・嫉妬なんかしたらあかんて・・・・・そう思ってたのに・・・・・」
「・・・・・千雪の我侭なら喜んで聞くけど」
「結婚・・・・・・・・・・」
「結婚?」
訝しげに聞き返される。
唇が震えて、言葉が上手く喉から出てこない。
本当は、クリスマスもお正月も10分でもいいから一緒にいたかった。
輝くリングが羨ましかった。
愛されている彼女が、結婚間近だと笑う彼女が妬ましかった。
握りしめた手の上に堪えきれない涙がポトポトと落ちる。
池上くんと目を合わすのが怖くて、下を向いた顔が上げられない。
子供のようにしゃくり上げる。
「・・・・・ひっく・・・・・結婚・・・・・しないで・・・・・」
言った。
言ってしまった。
「ご・・・・・めん・・・・・ひっく・・・・・なさい・・・・・お祝い・・・・・言えなくて・・・・・」
呆れられたのだろうか。
池上くんの沈黙が気まずくて辛い。