嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
大好きで愛しい。
卓袱台の上にはデリバリーのピザ。
池上くんがわたしに覆い被さり抱き抱えるように後ろに座り、わたしの背中はぴったりと彼の胸とくっついている。
「千雪、ごめん。最初に10年前のことから話せば良かった」
苦しいくらい絡んだ腕を締め付けられた。
漸く涙が止まった。
「あの・・・・・三条さんと・・・・・」
「結婚なんてするわけない。大学とサークルが一緒だっただけだ。アイツのカレシも知ってる」
安堵の溜息が漏れる。
「10年前、好きだと伝える前に我慢出来なくてキスをして・・・・・卒業式の後ちゃんとするつもりやったのに・・・・・オレ、ずっと図書室で待ってた。何度もお前の携帯に連絡も入れたけどお前出なくて・・・・・」
「ごめんなさい・・・・・もう1回メールを確認しようとして手がかじかんで滑って溶けた雪の泥濘に携帯を落としちゃって・・・・・」
「多分、澤村がオレの携帯から勝手にメールしたんやと思う。大学入ってからもストーカーまがいのことされたし」