嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「お母さんと心斎橋のデパートに行って色々買ったからちぃちゃんにも持って行ってあげようって話になってね」
テーブルの上に広げられたデパートで買ったであろう料理の数々。
母親にバアさんに、ジイさんまで。
「ちぃちゃん、何にも用意しなくてええからこっちで一緒にご飯にしましょう」
「おばあさま、お味噌汁だけ作りかけてたので」
トレイにお椀を並べてキッチンから運んで来た千雪がオレに気付く。
「お帰りなさい、修くん、いっぱいいただいたの。晩御飯、ラクできちゃった」
恐らく急に訪ねて来たであろう母親とバアさんとジイさんを嫌な顔もせず迎え入れたのだろう。
その時、インターホンが鳴った。
「あ、お義父さん、今開けます」
千雪が応える。
一家勢揃いか!
千雪、ちょっとはイヤな顔とか迷惑そうな顔しろ!
仕事して帰って来て疲れてるだろうが!
「ちぃちゃん、読みたいって言ってた本を持って来たよ」
「お義父さん、ありがとうございます」