嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
わたしは貴方の記憶に残っていますか?


満員電車が苦手なわたしは、誰よりも早くオフィスに毎朝着く。

誰もいない広いオフィスに1人、給湯室でコーヒーを入れて、簡単にゆで卵とハムとレタスを挟んで作ったサンドウィッチで朝ごはんを取る。朝ごはんのメニューはおにぎりだったり、コンビニで買ってきたスウィーツだったり、日によって違うのだけれど。

入社して5年目、お局とは言わないまでも、小局くらいには片足を突っ込んでいるので、新入社員にあてつけだと思われないよう敢えて机拭きもしない。

でも、まあ始業ギリギリにやって来るあの娘はわたしが何時に出社してるかなんて知らないだろう。

向かいのビジネスビルの鏡面ガラスに反射して朝の光がまだライトをつけていないオフィスに差し込む。

わたしの大好きな朝の風景だ。




あれから10年



東京の大学に進学した彼とは一度も会わないままーーーーー。


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