嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
今日は大丈夫かな。
OKの返事をしておく。
社食で待ってるとすぐ返信が来た。
「千雪!こっち!」
日替わりランチのトレイを持って、込み合う社食で奈々を探していると、窓際の席で手を振っているのを見つけた。
長い髪は毛先だけカールして、メイクは完璧。黒いワンピースの上にグレイのウェストラインが絞られたジャケット。
「今日もなんかどこも突っ込むとこなくてイヤミ」
「何よ、『今日も綺麗ね』くらい言いなさいよ」
奈々の向かい側の席に着き、「いただきます」と箸を取る。
「奈々におべっか言うても一文の得にもならへん」
「いやぁ、癒し系ボイスて有名な営業1課の成海さんが黒いこと言うてるわ」
「どうせ褒められるのは声だけです」
「あら、わたしほどやないけど千雪かて可愛いわよ。小学生みたいなおかっぱ頭
もおちょぼ口も」
「・・・・・・・・・・褒めてないし」
ぶすっととしてタラの甘酢餡掛けを口に入れる。