嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


1週間で、だいぶ寒くなった。

朝早く起きるのは辛いけれど、それでもわたしの朝の日課は変わらない。

今朝は五穀米のおにぎり。

頬張りながら、今お気に入りの時代ものの文庫本を開ける。

「成海ぃー」

後ろから呼ばれた。
どうせ斉川課長やし・・・・・おにぎりを片手に口の中にいっぱい頬張ったものを咀嚼しながら振り返る。

「お、今日はおにぎりか」

と言いながら片手を出してくるので1つ、手のひらにのせてあげた。

「コイツの朝飯、結構ウマイぞ」

課長が後ろを向いておにぎりを誰かに手渡している。誰だろう?

課長の後ろに立っても背の高さは負けていない。ダークグレイのスーツを隙無く着こなし、少し茶色かかった柔らかそうな髪は整髪料でキチンと整えられている。

ああ・・・・・
池上くんが大人になったらこんな感じだろうな・・・・・なんてぼんやり考える。


「おはようございます、今日からよろしく。池上といいます」


イケメンが口を開いた。
おにぎりが気管に入りそうになり、激しくむせた。

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