嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
清美ちゃんが邪魔くさそうに振り返る。
清美ちゃんがついている小早川さんが不機嫌を隠しもせず書類を持って立っていた。
「僕、昨日佐々木工業さんの過去5年の売上データ出しといてって言ったよね?今日の午前中に使うって」
「しましたよぉー。ちゃんと机の上に置いておきました」
小首を傾げてグロスで光るピンクの唇を尖らせる。可愛いけれど仕事で厳しいことで有名な小早川さんには逆効果。入社して半年経ってるんだからそのくらい悟ろうよ・・・・・。
「3年分しかない!」
「データ化されてたのが3年分しかなかったんです」
「だったらちゃんと資料からデータ起こせよ!」
「そこまで指示されてません!」
いや、ここは素直に謝るところだろ・・・・・。隣で原田さんが面白そうに成り行きを見守っている。
「いい加減にしろよっ!だったらどうすればいいですかって聞きに来い!」
「えー・・・・・だって言われたん定時間際やったし・・・・・」