嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


マズイ。

小早川さんが本気で怒る。

「おまーーーぐっ」

3時のおやつで食べようと思っていたお饅頭を小早川さんの口に突っ込んだ。

「小早川さん、わたしのとっておきのおやつですよー。行列ができるって有名なやつ。ちょっと落ち着きましょう」

「成海・・・・・!」
甘党の小早川さんがお饅頭をモゴモゴと噛み砕く。

「わたし、この間担当先の分の売上データ5年分データにしたので、佐々木工業さんの分も数字だけ入れてけばすぐできますし。すいません、わたしの指導不足です」

全て飲み込んだ小早川さんは明らかに戦意喪失している。

「大丈夫です。数字入れてくだけやから15分もあったらできますよ」

小早川さんにニッコリして請け合い、清美ちゃんに向き直りこの後の指示を出した。

「大急ぎでせなアカンけど数字には気を付けてね」

注意も忘れずにしておく。

「さすが癒し系仲介役。お見事」

小声で原田さんが茶化した。
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