嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
ただそれを言うのはこの優秀な人には今更だし、きっとソツなくこなしていくんだろうことは想像にかたくない。
1時間強で打ち合わせは終わり、後は課長と外回りに行くはずだ。
『久しぶりやね』と言うタイミングを完璧にはずした。
そもそもわたしは池上くんに気付いて欲しいのか、欲しくないのか、よく分からない。高校3年間で親しく話したのはあのひと月ほど。
わたしはたしかに恋心を抱いていたけれど、彼にとってはきっと友人の1人。
しかも卒業式の日にフラれてしまったのに。
彼が思い出さないのなら、それもいいかもしれない。
ああ、厄介だなあーーー
そんな気持ちを持て余しながら仕事に戻った。