嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


「満員電車が・・・・・」

「まあ仕事は早いし、今朝も見てたと思うけど上手に気まずい場面も執り成してくれるし、貴重な人材やね。あのゆったりした喋りになんやほっとするし」

「なんとなくわかりますね」

昔からそうだったな。

ふと懐かしく思い出す。

あの古ぼけた図書室で、一緒に本を読んで、取り留めのない話をして、癒されていた僅かな日々。


「池上?」

ハッと我にかえる。ぼんやり考えこんでいたようだ。

慌てて意識を戻した。
気にしてはいけない。



成海はもう人のモノで、

10年前、あの雪の卒業式

オレは彼女にふられているのだからーーー。
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