嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
時々胸を刺す、この痛みは何ですか?
いつもの朝。
いつもの朝なのにいつもの朝じゃない。
わたしの隣でクロワッサンサンドを頬張る人がいる。
「主任、美味しいですか?」
「うん、ウマイ。成海、料理上手だね」
「ふっ・・・・・おにぎりとサンドイッチや料理上手かどうかはわからへんのとちがいますか?」
「そう?わかると思うけど」
書類を捲りながら池上くんが笑う。
毎日ではないけれど、たまにこうやって一緒に朝食をとる。
一人の時間が好きだったのに、池上くんが隣にいることが不快じゃない。
ついあの高校時代の図書室での時間を思い出す。
「あ、主任。金曜日の夜あけといてくださいね」
「金曜日の夜?」
「はい。歓迎会しますから」
「それはどうもありがとう」
飲み終わった自分と池上くんのコーヒーカップを洗うために席を立った。
給湯室に入るとコーヒーを入れる課長がいた。
「入れましょうか?」
「お、お願いできる?」
「課長の分のクロワッサンサンド置いてありますよ」