嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
本日2回目の阿呆。
神林くん、可哀想に。
しゅんとしてしまって雨に濡れた小動物みたいだ。
「すいません、わたしも電話で愛想良くし過ぎたのかも・・・・・」
手帳で額の上をポンっと叩かれた。
「ばぁか、成海は間違ってないよ」
課長と池上くんが話しながら連れ立って出て行き、後ろを神林くんが付いていく。
小さく溜息。
ほんの少し触れられただけで、心が浮き立つ。
高校生の頃からちっとも成長していない自分が嫌になる。
書類を持ってコピー機の横に立つ。
「おおーっ、噂通りイケメ〜ン」
耳の側で囁く声。
「奈々」
「秘書課でも大騒ぎよ〜」
「仕事中やのになんでこんなとこにいんの?」
「常務のお使いでこのフロアに用事があったからついでに見て行こうと思って。ね、実はめっちゃ性格悪いとかないの?」
「残念ながら人柄もええわね」
「うわっサイテー。外見も中身もええとかイヤミ〜」
「奈々・・・・・めっ!」
窘めると奈々が肩を竦めた。