嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


「常務情報。会長がお見合いを画策してはるみたいよ」

「ふぅん、適齢期やもの。有りうる話しやね。選り取りみどりとちがう?」

「つまんなぁい、ちょっとはショック受けてよ」

終わったコピーを整える。

「言ったでしょ、興味ないし」




そう、興味ない。

無関心でいる方が心が楽だから。



余計な気持ちも

過分な期待も

持たないことがきっとわたしを守ってくれるからーーーーー。




「いやぁ〜、想像通り可愛い人だ」

アラサーのわたしを可愛いとは恐れ入る。
下心満載で隣に座りなさいと言われたのを、いちばんの下っ端が上座に座るわけにはいきませんとやんわりと断った。

「御社に電話をしたときにね、貴女が出ると本当に嬉しいんだよ。ゆったりとしたいい声でねぇ、クレームも忘れそうになる」

ウチの部長や池上くんに勧められてお酒が程よく回っている浜中部長は上機嫌だ。

「光栄です」

例え酔っ払いの言葉でも褒め言葉は素直に嬉しい。
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