嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「千雪、一人暮らしで不安なら入院するベッドを探してもらうけど」
斯波先生に言われ、慌てて必要ないと断った。
「池上さん、千雪はアルコール少量でもこうして喘息発作をおこします。今日はご迷惑をおかけしましたが、今後気を付けていただけると有難いです」
健太郎さんが池上くんの方を向いてお願いをする。
「勿論です。上司として以後気を付けます。こちらこそ申し訳ありませんでした」
当事者としてなんだかいたたまれない。
終わった点滴を斯波先生が抜いてくれた。
身支度を整えてベッドから降りようとしてふらつき、誰かの手に支えられ、そのまま腕を取られる。
「僕が責任を持って家まで送りますから」
「え・・・・・?あの主任・・・・・?」
取られた腕がふりほどけない。
これ以上の迷惑はかけられないのに。
「もう大丈夫なんですよね?心配いりませんね?」
健太郎さんが不機嫌になっているような気がするのは気の所為だろうか。