嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「主任のせいと違いますよ。自分が悪いんですから」
レースのカーテンごし、リビングの掃き出し窓の外は小さな庭。
東向きなのか朝の柔らかい光がさす。
この家には優しい穏やかな時間が流れている、何故だかそんな気がした。
きっと成海は独りで静かに、丁寧に毎日この居心地のいい家で暮らしているんだろう。
10年前、手に入らなかった女の子が目の前にいる。
あの頃と同じ、どこか人をほっとさせる笑顔をうかべて。
心を凪させる耳触りのいい声で言葉を紡いで。
欲しい。
突然沸き起こる焦燥感。
今度こそ手に入れるにはどうすればいい?そんなことを考えていたオレの口からポロリと零れた言葉。
成海の表情が固まった。