嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「不快やない。寧ろ心地ええ」
「ありがとう」
また2人で歩き始める。
時々すれ違う部活終わりの運動部の下級生達が「池上先輩、さよなら〜」と挨拶をし、律儀に全部応える。
こういうところも人気のある所以なんだろう。
「池上くん、わたし職員室に鍵を返してから帰るからここで」
階段の下で別れを告げた。
「なんで?待ってるし一緒に帰ろうよ。口止め料になんか奢る」
「口止め料ね、じゃ、すぐ行ってくる」
クスリと笑いをこぼし、階段を駆け上った。
素敵な神様からの卒業プレゼント。
職員室から戻ってくると、階段の手摺に背中を預け、携帯を見ている池上くん。
「カノジョから急な呼び出しメールとかやったら遠慮なく行ってね」
「ぶっ・・・・・カノジョいてたら大原と2人っきりとかならへんやろ」
「あれ、誠実やね」
「当たり前。誤解させて傷付けるようなことはしません」
その気遣いはカノジョ限定ということか。
「あ、大原は大丈夫?」