嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「成海はさー、仕事はキッチリ出来るし、空気よんで場を取り持ってくれるし、課長のオレとしてはホント有難い存在」
「ですね。仕事を頼んで嫌な顔をされたこともないし」
「ま、本気で成海をおとしにいくならあの兄貴のことだけは気を付けろ」
成海の兄貴・・・・・?
「義理の兄妹なのにえらく可愛いがっているんですね」
この間感じた疑問を課長にぶつける。
「元々同じマンションに住んでた幼馴染みだ。兄貴は母親を、成海は父親を早くに病気で亡くしてる」
成海の兄貴の家によくクラブの仲間と集まって遊んだこと、母親が仕事で遅くなる日は兄貴の家に来て成海が遊んでいたことを課長が話してくれた。
「小さいときから兄妹同然だったわけか」
「そう、だからうるさい。しかも高校のときに兄貴が必要以上に心配症になる出来事があってな」
高校のとき・・・・・?
口元に運ぼうとしたグラスが止まる。
「成海が卒業式の日に約束の時間になっても家に帰って来なかった」