嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


「高校生でしょ、卒業式が終わったあとなら友達と遊んでたんじゃ・・・・・」

「それがな小早川、その日は親同士の入籍祝と成海の卒業祝をするって朝から言ってあったらしい」

グラスを持つ指先が白くなるほど力が入る。

オレが呼び出したあの日、成海に何があった?

「式の後、最後だからと好きだった男に告白するつもりで呼び出したらしいんだ」

「よくある話しですよね」

「そう、よくある話だ」

心臓が嫌な音をたてて鼓動を刻む。

「だけど相手の男が来なかった。何時間も雪の中で成海は待ってたらしい」

「げ、雪が降ってた上に待ちぼうけって成海最悪じゃないですか」

「しかも成海は風邪をひいてて、体調が悪かったもんだからその場で倒れた。戸締りの見回りをしていた先生に発見された」

小早川が言葉もなく痛ましそうに顔を顰めた。

頭の中をまるで何かでかき回されるような不快感がオレを襲う。
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