嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
どんな関係でもいいからそばにいたいと思うのは贅沢ですか?


落ち着かない気分の週末を迎える。
正確に言うと落ち着かないのはこの間からだ。

部屋に軽く掃除機をかけながら池上くんは本当に本を読みに来るのだろうかと疑いが心に湧く。そんなことを思っているのに朝から晩御飯用にビーフシチューをコトコトと煮込んでいる自分が可笑しい。

ドキドキしながら池上くんを待つ。
まるで恋を覚えたての女の子のように。


インターホンが鳴った。


カメラで池上くんの姿を確認して足を縺れさせながら玄関に出る。

「おはよう。・・・・・ってもうすぐ11時か」

「おはようございます」

白いTシャツの上にライトグレーのカーディガンをデニムに合わせて、学生だと言ってもとおりそうな池上くんが立っていた。

中に招き入れると、デパートの紙袋を渡される。

「約束の昼飯」

覗き込むと、京都の有名な料亭のお弁当。

「これ高いのに・・・・・。ええんですか?」

「どうせならウマイの食いたいだろ」

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