嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「ふーん・・・・・」
池上くんの手にしたカップからは甘い匂い。
ココアかな・・・・・?
窓の外を歩く人を見るようなフリをして、隣の池上くんの横顔を盗み見る。
ああ、やっぱり綺麗ーーー・・・・・。
「なあ、オレも時々図書室行くし、お勧めの本教えてよ。折角暇になったんやし今のうちにいっぱい読んどこう」
「泣けるヤツ?」
「それも含めて」
池上くんがニヤリとした。
それから2人で携帯を出して赤外線で連絡先を交換する。
「t-snow・・・・・thousand snow か。千雪やから?」
「・・・・・・・・・・」
「大原?」
「びっくりした。よくわかったね」
「記憶力には自信がある・・・・・って珍しい名前やから覚えてた」
「池上くんは・・・・・」
「修(しゅう)、どうってことない名前やろ」
「そんなことあれへんよ。修くん、ええ名前やない」
応えながら携帯に登録する。