う ん め い の ひ と
「あや!あやってば!!!」
「わあ!!びっくりするな〜!!」
「もう、あやってば、さっきからぼ〜としてどうし
たの?」
「いや、昨日会ったチャラ男で頭いっぱいで…」
「あ〜、そいつ椎名っていうらしいよ。しかも、中学時代女教師と関係持ってたのバレて転校の経験もあるらしいよ。だから、そんな危ないやつを絶対に好きになるなよ!!」
「え!そ〜なんだ…、あはは〜、大丈夫だよ〜、流石にチャラ男と付き合うなんて嫌だ
そんな話をしながらマユと一緒に次の教室へと移動する。
(椎名くんっていうんだ。また会えるかな。)
教室移動のせいで生徒が溢れる階段を降り
急いで階段を登ってくる生徒と
ドンっと、ぶつかり
バランスを崩し、持っていた教科書やノートが抱えていた腕から落ち
階段を踏み外しそうになる瞬間
誰かが私の腕を掴んで支えてくれた
「あや、大丈夫?!」
マユが心配しながら私の教科書などを拾ってくれた
「わあ、びっくりした〜、、、ありがとうござ、、いま、、、す」
顔を上げるとそこには
「あ、こんちには、ビラばら撒いてた先輩。
今日は教科書ばら撒いて、階段から落ちそうになるなんて、ドジで面白いですね。」
昨日のチャラ男、椎名くんが私を助けてくれた
「これはたまたまだよ!そんなにドジじゃないよ!」
「絶対嘘ですね。気をつけてくださいよ。
女の子が怪我でもしたらお嫁に行けませんよ。」
また椎名くんは昨日と同じ笑顔でクスっと笑い
「また放課後に会いましょうね、鈴木あや先輩」
私の名前を呼んで、後ろを向きながら右手を上げ
階段を昇っていった
「え、なんで私の名前を?」
私の声は椎名くんには届いていたのだろうか
彼は女の子を引き連れ、こちらを見ながら手を振った
「あいつが椎名?」
マユからの質問に私はコクリとうなずく
それと同時に授業開始のチャイムが鳴る
キーンコーンカーンコーン
椎名くんの後ろ姿を思い出し
どきどきと高鳴る胸の音
(あれ、私椎名くんのこと…)