この度、友情結婚いたしました。

かと言って居心地が悪いわけではない。むしろ良すぎるから困る。

仕事中に呑気に欠伸をしちゃうくらい、気が緩々に緩んじゃうんだから。


「昔みたいに接しろよ。……いいな？」


不快だと言いたそうに吐き捨てると、琢磨がコピーした書類を持って自分の席へと戻っていく。


なっ、なにが〝いいな？〟よ！
あんたに命令される筋合いはないっつーの！！……と心の中で叫んで心を鎮める。



元カレである琢磨と同じ職場で働き始めて一週間。
いまだに彼の真意が見えずにいる。

トボトボと自分のデスクに戻り、真希さんに頼まれていた書類作成に取り掛かる。

やつは恐ろしいくらい普通だった。

〝昔の確執なんて忘れちまったぜ〟ってくらい、高校時代のように接してくる。


呼び方だってそうだ。
いきなり「まどか」だし。最初は仕事中どうなの？って思ったけど、よくよく考えればここではみんな下の名前呼び。

真希さんなんて琢磨のこと「たくちゃん」って呼んでいるくらいだから、私も昔のように「琢磨」と呼んじゃっている。