この度、友情結婚いたしました。
社交辞令だとしても、そう言ってくれるのはやっぱり嬉しい。

「本当にありがとうございました」

「次の職場でも頑張ってね」

「……はい!」

切られちゃったけど、職場は比較的良い環境だった。
無理な残業とかなかったし、人間関係も良好だったし。

だからこそ派遣切りはショックだったけど。
でもこうなってしまった以上仕方ない。

最後にフロアに残っている社員の方に挨拶に回り、お世話になった職場を後にした。


「ふー、疲れた」

会社を出て少し歩くと、溜息と共に声が漏れてしまう。

二~三日ゆっくりしたら次の派遣先、決めないとな。

そんなことを考えながら駅に向かっていると、鞄に中に入っているスマホが鳴り出した。
しかも着信だ。

「誰だろ」

今日は特に友達と会う約束もしていないし、普段滅多にかかってくることなんてないのに。

不思議に思いながらもスマホを取り出し確認すると、電話をかけてきたのは春樹だった。
< 14 / 379 >

この作品をシェア

pagetop