この度、友情結婚いたしました。
「春樹……?どうしたんだろ」

ひとり言を呟きながら切れる前に出ると、電話越しからいつになく弱々しい声が聞こえてきた。

「もしもし、春樹?」

『悪い、今すぐ会社まで俺のこと、迎えにきてくれないか?』

「……はぁ?」

突拍子もないお願いごとに足は止まり、本音が漏れてしまった。

「なんで私が会社まで春樹を迎えに行かなくちゃいけないのよ!」

子供じゃあるまいし!
それに春樹だって知っているでしょ?
私の仕事が今日までだったって。

むしろ迎えにきて欲しいのは私の方だ。

だけどどうやら冗談で言ったのではないようで、春樹は話を続ける。

『頼むよ、まどか。……一生のお願い』

「一生のお願いって……」

一体なのがあったというのだろうか。
だけど春樹が今、切羽詰った状況なのは電話越しでも分かる。

『ちゃんと事情は話すから』

悲願するように言われては、「いかない」とは言えそうにない。
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