この度、友情結婚いたしました。
琢磨の話は真実だけど……まさかこうもあっさり認められてしまうと、私はどういう反応に出たらいいのか分からなくなる。


「まー!なにそれ、たくちゃん最低!浮気はだめよ!!それはまどかちゃんに愛想尽かされて当たり前よ」

「そうだな、浮気はいかんぞ。これが結婚していたら訴訟問題になって、絶対負けてしまうパターンだ」


せめてもの救いは、目の前におふたりがいてくれるということ。

普通はしんみりしちゃうところを、あっけらかんと言ってくれて、ホッと胸を撫で下ろしてしまう。
だけどそれも束の間、隣から意味深な声が聞こえてきた。


「それはそうですけど……当時の俺には俺なりに、色々と思うところがあったんですよ。……今なら絶対しないって思いますけどね」

――え?

思わず隣を見てしまうと、少しだけ目を細め笑う琢磨と目が合う。


「まっ、もう昔の話ですし。なによりまどかは既婚者ですから」

「この話はおしまいです」と言いながら、さっさと琢磨は話題を変えてしまったけれど、私の頭の中は、さっきの琢磨の言葉が飛び交っていく。


色々思うところがあったってなに?今なら絶対しないってどういう意味?

それって少なからず、琢磨は昔浮気してしまったことを、後悔しているの?
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