この度、友情結婚いたしました。
時刻は日付が変わる少し前。

人通りは少なく、車の通りも少なくていつもより街が静かだった。
夜の空気は澄んでいて、琢磨の声がいつもより響いて聞こえる。


「でも今は後悔しているよ。……どうしてあんなバカなこと、したんだろうって」

苦しそうに無理して笑う姿に、胸がギュッと締め付けられてしまった。


〝どうして〟って言葉は私が使いたいよ。


どうして今、それを私に言うの?
苦しそうに無理して笑って言うの?


分かりそうで分からない琢磨の本音に、私の胸はますます苦しくなる一方だった。

「悪い、帰るか」

そしてまたさっきのように勝手に自己完結させるから達が悪い。


そう言われちゃったら、それ以上聞けないじゃない。
「うん」って言うしかないじゃない。

聞きたいのに聞けないもどかしさに唇をギュッと噛みしめ、先に歩き出した琢磨の後を追い掛けた。


そんなこと言われちゃったら、私も後悔しちゃうじゃない。

どうして浮気されたって気付いた時、もっと琢磨を問い詰めなかったんだろうって。

そうしたら琢磨は、ちゃんと本音を話してくれた?
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