この度、友情結婚いたしました。
もしかしたら私達は、あのままずっと付き合い続けていた……？

昔の苦い思い出と、苦しいくらい好きって感情が蘇ってきてしまう。


初めてだった。
好きになったのも、付き合ったのも。キスもその先も全て琢磨が初めてだった。

そんな彼に浮気されて、今の私が出来上がってしまったのかもしれない。

結婚に興味がない私が――。

もちろん先に次々と結婚していった友人達を見て思ったのもあるけど、根本的な原因は、琢磨に裏切られてしまったことが大きい気がする。

もうあんなに苦しくて悲しい思いは、二度としたくないから……。


そこまで思いが行きつくと、昨夜春樹に抱いた感情の正体が分かった気がした。

自分でも気付かなかったけど、思いの外琢磨に浮気されてしまったことが、トラウマになってしまっているのかも、と。

だから苛々したのかもしれない。……仮にとはいえ、春樹とは結婚したわけだし。
ましてやここ数日間、散々迫られていたから。


ひとり妙に納得してしまっていると、前を見ていなかったせいで、突然立ち止まった琢磨の背中に顔をぶつけてしまった。


「痛っ」

あまりの痛さにすぐに鼻を押さえる。

「……琢磨？」
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