この度、友情結婚いたしました。
そしてまた白々しい演技を続けた。

「とにかく早く家に帰ろう、なっ!」

「なっ!って……」

摩訶不思議な彼の言動に、肩を抱かれたまま引きずられるように進むだけしかできない。

本当に春樹ってば、どうしちゃったわけ?

突っ込みどころ満載なのに、あまりに突っ込みどころが満載すぎて、どこから突っ込んだらいいのかも分からない状況だ。

歩道に出ると春樹は通りかかったタクシーを止め、乱暴に私を奥へ押し込んだ。
もちろん春樹もすぐさま乗り込み、運転手に自宅の住所を告げると、タクシーは発進する。

それと同時に彼は安心したように、大きく肩を落としながら息を吐いた。

「ちょっとっ春樹!?どういうことよ、これは!!」

いきなり人を呼びつけた挙句、意味の分からないことばかり言って!

怒りを抑えることができず、拳を握りしめ春樹に詰め寄ると、「ごめん!」と言いながら顔の前で両手を合わせた。
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