この度、友情結婚いたしました。
「……冗談でしょ?」

乾いた笑い声が出てしまうけど、すぐに春樹は言葉を続けた。


『冗談なわけねぇだろうが!本当にいるから何度もまどかなんかに、メールや電話したんだろうが!』


ちょっと待って。
春樹の言っていることって本当なの?
琢磨が家に来ているの!?


『おいこら、聞いてるのか?まどか!……あっ、おい!なに勝手に……っ』

『悪いまどか。勝手に来て』


やかましい春樹の声に変わり、落ち着いたトーンの声が耳に響いた途端、ハッと我に返る。

その声は間違いなく、琢磨の声だったから。


どうして琢磨が家に?そもそもどうして家が分かったの?
昨夜は自宅近くで降ろしてもらったのに。


疑問が増すばかりで声が出ない中、琢磨は優しい声色で言った。


『悪いんだけど帰ってこれる?……っていうか、帰ってきてくれないと、俺が大嫌いな春樹とふたりっきりで、何時間も過ごした意味がなくなるからさ。だから帰ってきてほしいんだけど』


「あっ、うんごめん。すぐに帰るから」

咄嗟に返事をすると、琢磨は『気をつけて』と言い電話を切ってしまった。
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