この度、友情結婚いたしました。
切られる間際、『俺に代われ』なんて言う春樹の声も聞こえてきた。

琢磨の話といい、家の中はとても和やかな雰囲気ではなさそうだ。


「急いで帰らないと」


どうして琢磨が家に来たのか分からないけれど、これだけは分かっている。
私が早く帰らなくてはいけないってこと。

駆け足で駅へと向かい、電車に飛び乗った。



ガチャリと玄関の鍵を開けドアを開くと、すぐにリビングから駆け寄ってくる足音が聞こえてきた。


「まどかっ!お前なぁ……!」

当然駆け寄ってきたのは春樹だったんだけど……春樹の顔を見た途端、ギョッとしてしまった。


「え、なに春樹。どうしたのその顔!」


驚いてしまうのも無理ない。
だって春樹の下唇は切れて血が滲んでおり、右頬は腫れているのだから。

「それはお前が一番よーく知っているんじゃありませんか?まどかさん」

妙に演技掛かった声に、思い出すのは昨夜のこと。

「あ……」
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