この度、友情結婚いたしました。
もしかしてもしかしなくても、その傷は琢磨にやられたもの……なんだよね?

え、じゃあなに?
琢磨は春樹を殴るために、訪ねてきたってこと?


「おい春樹、玄関先でなにやっているんだよ」

春樹にビシビシ睨まれている中、リビングから顔を出したのは琢磨だった。

「琢磨……」


電話で家にいるってことは分かっていたけど、まさか本当にいるところを見ると、違和感を覚えてしまう。
それを悟ったのか、琢磨は申し訳なさそうに眉を寄せた。


「悪いな、勝手に上がり込んで」

「あ……ううん、私こそ出掛けちゃっていたから……」


昨夜のこともあり、なんかうまくしゃべれないし顔が見られない。
照れ臭くて前髪を何度も触ってしまう。

「おい琢磨!俺には謝罪の言葉ないのか?勝手に上がり込んで、いきなり殴ってきたことに対する謝罪は!!」

「ちょっと春樹!?」

勢いよく琢磨の元へ向かった春樹を追い掛け、慌てて止めに入る。

それでも春樹は掴んだままの琢磨の腕を離そうとせず、鋭い視線を送り続けている。
< 193 / 379 >

この作品をシェア

pagetop