この度、友情結婚いたしました。
取り敢えず一旦頭を落ち着かせようと、自分で淹れた珈琲をズズッと啜る。

すると気まずい空気を壊したのは、私ではなく琢磨だった。


「春樹、どうして俺がわざわざ休みの日に訪ねてきてまで、お前のことを殴ったか教えてやろうか?」

「それは是非教えてほしいね」


先ほどよりは冷静に話すふたりだけど、こっちはハラハラしてしまう。
気持ち悪いくらい笑顔なのが、余計そうさせている。

ここで口を挟むべきかどうするか判断に迷っていると、急に琢磨は私を見据えてきた。

目が合っただけで、ドキッとしてしまう。

だってあまりに琢磨の瞳が怖いほど真っ直ぐだったから。


「それはお前が一番分かっているんじゃないか?」

「はぁ?どうして俺が」

「意味が分からない」と言いたそうに顔を顰める春樹に、琢磨は鋭い視線を向けた。

「分かるだろ?……高校時代、俺が浮気したって知って、わざわざ殴りに来たお前なら」

「……っ!」


一瞬にして春樹の表情が強張っていく。
そんな春樹を見て、琢磨は勝ち誇ったように笑みを浮かべた。
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