この度、友情結婚いたしました。
「これには深い事情があってさ!……本当、悪かったよ。家に着いたらちゃんと詳しく話すから」

「それにしたってねぇ……!」

いくら謝られたってなかなか怒りが収まらない。
そんな時、春樹の頬に貼られていた絆創膏に気付いた。

「春樹どうしたの、そんなところに怪我なんかして」

不思議に思い自分の頬を指差しながら尋ねると、春樹はバツが悪そうに視線を泳がせた。

「まぁ……これに関しても帰ったら詳しく話すから。本当に助かったよ、サンキューな」

よほど困っていたのか、心から感謝されてしまっては、これ以上怒りをぶつけることなど出来そうにない。

不完全燃焼の怒りを、どこにぶつけたらよいのか分からなくなってしまい、大きく息を吐いた。

「ちゃんと帰ったら納得のいく説明をしなさいよね」

「それはもちろん!母さんの夕食と晩酌もお付けいたします」

深々と頭を下げる春樹に、苦笑いをしてしまう。

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