この度、友情結婚いたしました。
十年以上の時を経て問いかけた言葉に、琢磨は悲しげに語り出した。

「好きだったからだよ。……まどかが好きだったから浮気した」


何それ、どういう意味？

「ごめん、意味が分からない」


好きだから浮気した、なんて理由になっていないじゃない。
十年経った今でも、琢磨はちゃんと話してくれないの？

そう思うと悲しくて切なくて、胸が苦しくなる。

なのに琢磨は無理難題を押し付けてきた。


「分かれよ。俺の気持ち」

「……っそんなの、分かるわけないじゃないっ」


つい声を張り上げてしまう。
けれど琢磨は至って冷静だった。


「好きだから不安だったんだよ。……いや、ずっと不安だった。幼い頃からまどかのことが好きだった。でもお前の隣にはいつも春樹がいただろ？いつも一緒でふたりの間に俺は入り込めないって諦めていた」


初めて聞く琢磨の本音に、目を見開いてしまう。

まさか琢磨がそんな風に思っていたなんて、知らなかったから。
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