この度、友情結婚いたしました。
それに気づいてか、琢磨は無理して笑った。


「だからだよ、俺が春樹を殴りにきたのは。……ただ単に昔の罪滅ぼしをしたかっただけかもしれない。もう二度とまどかには、悲しい思いをさせたくない、幸せになってほしいって願っているから」


ずっと気になっていた。
聞きたくてたまらなかった。再会してからは特に。


でも聞いた今は後悔に襲われている。

だってこんな琢磨の本音なんて、知りたくなかった。聞きたくなかったよ。

ちゃんと好きでいてくれたのに、それに気づけなかった自分が全て悪いんじゃない。

もっとちゃんと琢磨と向き合っていたら、琢磨が抱いていた不安にも、気付くことが出来ていたかもしれないのに――……。

そう思うと胸がはち切れそうになってしまう。


「ちゃんと春樹と話し合えよ。……また月曜日な」

「あっ……」


軽く私の頭を叩くと、琢磨は階段を使って降りていってしまった。

階段を下りる音がやがて聞こえなくなっても、動くことができない。

手が向かう先は、ついさっき琢磨が触れた自分の頭。


「どうして今、なんだろう……」

もっと早く知りたかった、琢磨の本音を――。
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