この度、友情結婚いたしました。
現金な奴だ、本当。
だけどこれが春樹だから仕方ない。

渋滞にハマることもなく、私達を乗せてタクシーは快調に自宅へと走っていった。


「おばさん、ごちそうさまでした」

「いいえ、どういたしまして!こっちもまどかちゃんが食べてくれるって聞いて、久し振りに作り甲斐があったわ」

あれから春樹の自宅前に辿り着くと、なぜか彼は降りるときもまた慣れ慣れしく私の肩に腕を回してきた。
けれど自宅に入るとパッと離れ、いつもの調子に戻り、今はおじさんと呑気にバラエティ番組を見て大笑いしちゃっている。

どうやら既に私が来ると連絡済みだったようで、豪華な夕食が用意されていた。

散々ご馳走になっただけでは申し訳なくて、こうして今おばさんと共に後片付けを手伝っていた。

「でもこうやってまどかちゃんとご飯を一緒に食べるの、久し振りよね」

「そう、かもしれませんね」

おばさんが食器を洗い、それを私が拭きながら最近の記憶を呼び起こしてみたけれど、おばさんの言う通り、こうして春樹の家にお邪魔すること自体久し振りだった。
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