この度、友情結婚いたしました。
そうだよ、そうでなくちゃ困る。

本気で私を好きって言われたって、そんなの今さらだ。


散々私には興味ないって言っていたじゃない。
ムラムラはするけど、好きには絶対ならないって。
そう言っていたくせに、なんなの?突然。


おまけに高校時代、私に内緒で琢磨を殴って?
最近ではちょっぴり私のこと、気遣っちゃったりして?……それに、昔からいつだって春樹は私の味方でいてくれて……。


そう思うと胸がトクンと鳴る。


そうなんだ、いい奴なんだよ春樹は。
ずっと友達として付き合っていきたい。そう思えるほど。
それなのになに?急に男の色気全開にしちゃって……!


思い出してしまうのは、さっきのキスと春樹の熱い吐息。


あぁ~もう!
それなのにどうして私は春樹相手に、ドキドキしちゃっているのよ!


これじゃまるで、私も春樹のこと好きみたいじゃない……!


結婚しているんだから、お互い好きなのは当たり前なこと。
今さら好きになっても、なんら問題ないのかもしれない。


それでも素直に認めたくないのは、長年一緒にいたから春樹がどんな男かって知っているからだ。

浮気は当たり前。女の子とっかえひっかえ。
若いうちは遊んでなんぼ!
今だって私を好き~!なんて言っているけれど、明日になったらもう心変わりしているかもしれない。

そんな男を好きになったらどうなっちゃうかくらい、想像しなくても分かる。


「ない……!絶対に春樹だけはありえない……!」

ドキドキする胸を押さえながら、そう言い聞かせるのに必死だった。
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