この度、友情結婚いたしました。
「そうやって意外と素直なところも、全然変わってねぇな」

あどけない笑顔に胸が高鳴る。


それを言ったら琢磨もだよ。
笑うと顔が少年みたいになっちゃうところ、全然変わっていない。


しばし笑う彼の姿を目に焼き付けてしまう。


「一生話すつもりはなかったんだけど、ごめんな。話したことによって嫌な思いとかさせて」

「そんな、嫌な思いなんて……。私の方こそごめんね。昔のこととはいえ、琢磨の気持ちに気付いてあげることができなくて」

「まどか……」


目をパチクリされてしまうと、苦笑いしてしまう。


「でもこれだけは分かって欲しい。あの時の私は、本気で琢磨のことを好きだったってこと。……春樹の話ばかりしちゃっていたのは、ふたりっきりになっちゃうと、うまく話せなかったから。だからつい……」

「そっか。俺もなぁ……当時は若かったからなぁ」


急に遠い目をしてしみじみ語り出した琢磨に、我慢できず笑ってしまう。


「笑い事じゃねぇよ。今なら百パーセントあんなことやらないって自信ある。ちょっと考えれば分かることだしな。……それだけ若かったってことだ」

琢磨……。
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