この度、友情結婚いたしました。
いいと思うの。
そう言われても本当に困る。

私も春樹もそんな気、これっぽっちもないし。

かと言ってこんなに目をキラキラさせたおばさんにそれを伝えるなんて、私にはできそうにない。

ひたすらどうしたらいいのか答えが出ず、とりあえず曖昧に笑うしかなかった。

「だからちょっと考えてみてね。ふたりともそろそろ結婚してもいい年齢でしょ?」

決して悪気のないおばさんの一言が、胸にグサッと突き刺さる。

あぁ、やっぱりうちの両親だけではなくおばさんもそう思っていたのね。
そうだよね、二十八歳って言ったら「結婚は?」って聞かれる年齢なんだよね。

「……はい」

この場をやり過ごしたい一心で返事をすれば、おばさんは満足したようで上機嫌で残りの食器を洗い出した。




「ちょっと春樹!さっきおばさんに本気であんたとの結婚勧められちゃったんだけど!」

あれから洗い物を済ませ、足早に春樹と彼の部屋に向かうことを告げると、どことなくおばさんは嬉しそうに表情を緩めた。
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