この度、友情結婚いたしました。
「それでご機嫌直してくれますか?奥さん」


あぁ、もう。なんでかな?
春樹はこれからもずっと一緒にいたい友達だったはずなのに、奴の笑顔ひとつでこんなにも胸が躍らされてしまうのは。


普通友達に対して、ドキドキなんてしないでしょ?
だったら鎮まれ、私の胸!!


「ハーゲンダッツ十個買ってくれるなら、機嫌直す」

「アホか!調子に乗るな」


春樹のバカ、アホはそっちだ。

悪口言っているくせに、嬉しそうに笑うな。
せっかく通常運転に戻ってこられたのに、また調子が狂っちゃうじゃない。


おまけに楽しませてくれちゃって……!
これじゃ勘違いしてしまいそうになる。

ずっと友達だと思っていたけど、もしかしたら違うのかもしれないって――。



「はい、これ」

「え……なにこれ?」


一通り水族館内を周り終え、最後に春樹が「職場の人にお土産買っていく」と言うので、一緒に売店に来たものの、春樹が買ってきたのはイルカのぬいぐるみだった。

驚く私に、春樹はどこか照れくさそう。
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