この度、友情結婚いたしました。
「イルカ好きじゃん」

「いや、好きは好きだけど」

「だからプレゼント。……初デートの記念にな」


なにこれ。心の奥がなんかむず痒いんですけど。


「だから素直に受け取れ」

「……あり、がとう」

痒さを鎮めるため、買ってもらったぬいぐるみをギュッと抱きしめた。


「はい、じゃあこいつは袋の中に戻ってもらって」


パッと私が抱きしめていたイルカのぬいぐるみを奪うと、手にしていた袋の中に押し込み、そして当たり前のように、ギュッと手を握った。


「まだ時間あるし、どこか寄っていこうぜ」

「……うん」


荷物は全部春樹が持ってくれて、歩くときは常に手を繋ぐ。


明らかに今までの私達とは違うんだって、嫌でも実感させられてしまう。
春樹が私のことを女の子扱いしてくれて、それに戸惑う自分がいるから。


今日初めて知った。
彼の隣にいることが、こんなにも居心地がいいんだって。


それから来た道を戻り、また電車に揺られていった。
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