この度、友情結婚いたしました。
さっさと春樹に見てもらって着替えよう。

かと言って着慣れない女子力全開のワンピースを着たまま、堂々とカーテンを開ける勇気はなく、そーっと外の様子を窺うように隙間から顔だけ覗かせた。


「……あれ?どこ行ったんだろ」


てっきりカーテンの向こう側にいると思っていた春樹の姿が見当たらない。
見せろって言っていたくせに、一体どこに行っちゃったのよ。


カーテンの隙間から顔を出し、周囲を見回している私はさぞや他人の目には、滑稽に写っているに違いない。
それでも当の本人はそれどころじゃなくて、必死に奴を探すこと約三十秒……。

「……いた」

せっかく見つかった我が夫だけど、その姿を見た途端、顔を顰めてしまう。


まぁ、なんてことでしょう。
人に無理やり試着させておいて、自分はナンパですか?

無意識のうちにムッとしてしまう。


しかもなに?ふたり同時にナンパとは、なかなか高度なスキルをお持ちじゃないですか!

カーテンを握る手の力が強まってしまう。

怒りの眼差しを向けていると、様子がおかしいことに気づいた。

あれ……?でも春樹がナンパしたにしては、女の子ふたりの方が押している感じがするし、ちょっと奴は困った様子じゃない?
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