この度、友情結婚いたしました。
え……となんか今、奇想天外な言葉が聞こえて気がするんだけど、私の聞き間違えだよね?

春樹の肩に手を乗せたまま固まる私。

どうやら春樹は私が聞こえなかった、と判断したのか少しだけ顔を近付け、再度同じ言葉を繰り返した。

「なぁ、俺と結婚しないかって言っているんだけど」

「……っ!?」

さすがに同じことを二回も言われれば、聞き間違えではなかったと理解できる。

「はぁっ!?ちょっと、どうしちゃったわけ?頭でもぶつけたの!?」

当然声を上げたくなる。
だってあり得ない。私と春樹が結婚??

全く想像さえできないし、したくもないもの。

パッと春樹から離れ距離を取り、まじまじと彼を見つめてしまう。
けれどどうやら嘘でも冗談でもないようで、春樹はムッとし、いきなり私の手を掴んだ。

「バーカ!こんなこと冗談で言うかよ。本気だっつーの!」

「本気って……」

絶句してしまう。

私と春樹は幼なじみで友達で……。それ以上の感情なんてお互いないはず。
ならどうして急にそんなことを言い出したの?
< 25 / 379 >

この作品をシェア

pagetop