この度、友情結婚いたしました。
「意外と買っちゃったな」

買い物袋を片手にレシートを見ると、いつもよりたくさん買ってしまった。

おまけに冷蔵庫の中身を思い出してみると、まだ残っている牛乳とかバターまで買っちゃったし。
やっぱり買い物はゆっくりひとりでするものだよね。

恥ずかしい思いもしちゃったし、二度と春樹と来るものか。

心に誓いお財布にレシートをしまい終わり、いざ帰ろうと歩き始めると、素早く私が手にしていた買い物袋を奪われてしまった。

もちろん奪ったのはいまだにブスッとふて腐れている春樹だ。
文句を言わせてもらえず、奴は無言の圧力作戦に切り替えたらしい。会計中も袋に買った物を詰めている時も、傍らを離れずジロッと睨まれてばかりだった。


最初は無視していたけど、ここまでしつこいといい加減にして!と叫びたくなる。

それともなに?こいつは私が謝罪するまで、一生こうやっているつもりなのだろうか。ならとっとと謝ってやろうじゃない!

変な闘争心が芽生え、負けじと睨み返し声に棘を生やした。


「はいはい、さっきはどうもすみませんでした!全て私が悪かったです!……これで満足!?」

強気で言えば、当然春樹も強気できた。


「はぁ?なんだそれ!それが謝る態度かよ!つーか全然悪いと思っていないだろ!?」

「当たり前でしょ?悪いのは春樹だし」


プイッと顔を逸らせば、春樹は急に「あーもう!」と叫び出し、乱暴に私の手を取った。

「ちょっ、ちょっと!なんで手を繋ぐのよ!」

「そんなの、繋ぎたいからに決まっているだろうが!」

「なにそれ、こっちがはぁ?なんですけど!」
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