この度、友情結婚いたしました。
「言っておくけどなぁ、法律上俺達はれっきとした夫婦なんだ。最初は友情結婚だったけど、今は違うから。俺はまどかのこと好きだし、もう浮気なんてしねぇよ」

春樹……。


真剣な面持ちで話す彼を凝視してしまう。

ここ最近ずっと言われてきたことだけど、琢磨とあさみを前にしても同じことを言われてしまうと、信じてみたくなってしまう。春樹の気持ちを――。


「なぁ、春樹がまどかのこと好きって気づいたの、いつ?」

「は?どうしてそんなことを、お前に話さなくちゃいけねぇんだよ」


冷静に問いかける琢磨に、春樹はますます声を荒げる。


「それ、私も聞きたい!だってあんた、つい最近までまどかのことなんて、恋愛対象外だったんでしょ?その豹変した理由はなんなのよ」

「それはっ……!」


言葉を詰まらせてしまった春樹に、琢磨は追い打ちをかけていった。

「もしかして俺が現れたからなんじゃないのか?……タイミング的にもそうだろ?」

さすがは琢磨だ。鋭い観察力を持っている。


「まどかと一緒に見た時、お前堂々と浮気してたよな?それなのになに?急に俺が現れて焦ったのか?……まどかを取られると思った?」

「……っ!」

確信を突いていく琢磨に、春樹はなにも言い返せず悔しそうに唇を噛みしめるばかり。

その姿を見てそれが真実だと悟ったのか、琢磨は呆れたように深い溜息を漏らした。


「なんだそれ。気づいていないのか?……今のお前、お気に入りのおもちゃを必死に守る子供と同じことしているって」
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